化学物質

法令対応

毒物及び劇物取締法

毒物および劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締を行うことを目的としています。

保管
  • 盗難および紛失防止(法第11条)
-具体的な方法-
  1. その他の物と明確に区別して毒劇物専用として保管(規則第4条の4) (薬発第313号薬務局長通知)
  2. かぎをかける設備がある場所で保管(規則第4条の4)
  3. 堅固な施設で保管(薬発第313号薬務局長通知)
    堅固なとは「金属製(スチール、ステンレス製等)で持ち運びが容易でない」と定義されていて、堅固でないものとは「扉等一部にガラス等が使用 され壊れやすいもの、又は持ち運びが容易であるもの」とされています(調査中)
  4. 保管する場所に表示: 「医薬用外」 の文字及び毒物については「毒物」、劇物については「劇物」の文字を表示します(法第12条の3)
  5. 容器の表示: 「医薬用外」の文字及び毒物については赤地に白色をもって「毒物」の文字、劇物については白地に赤色をもって「劇物」の文字を表示します(法第12条)
  6. 在庫量の定期点検(薬食発第1017003号)
  7. かぎの管理:かぎの管理者の選任と代理者の選任、かぎの管理簿、関係者以外が入手・使用できないようにします(薬生薬審発0724第1号)
使用
  • 使用量の把握(薬食発第1017003号)
廃棄
  • 変化させる(燃焼、中和、加水分解、酸化、還元、稀釈その他の方法)(規則第40条の1)
その他
  • 特定毒物研究者:特定毒物は、都道府県知事の許可を受けた特定毒物研究者でなければ、使用、所持をしてはいけません(法第3条の2)
【熊本大学の対応】
熊本大学化学物質取扱要項

第6条 化学物質管理責任者は、毒物及び劇物を堅固な施錠できる保管庫(金属製で、持ち運びが容易でないものに限る。以下この条において同じ。)にその他の物と明確に区分して保管し、常時、施錠しなければならない。

  1. 化学物質管理責任者は、保管庫の鍵を責任を持って管理するとともに、鍵の管理簿を備えなければならない。
  2. 化学物質管理責任者は、毒物及び劇物の保管について代理者を選任し、化学物質管理責任者が不在の場合は、代理者が保管庫の施錠及び鍵の管理を行わなければならない。
  3. 化学物質管理責任者は、毒物及び劇物を保管する保管庫に、化学物質管理責任者の氏名を表示するとともに、毒物については「医薬用外」及び赤地に白色で「毒物」、劇物については「医薬用外」及び白地に赤色で「劇物」の表示をしなければならない。
  4. 化学物質管理責任者は、毒物及び劇物の使用に当たっては、その使用量を重量又は容量の単位で記録し、これを使用を終了した日から5年間保存しなければならない。
  5. 化学物質管理責任者は、毒物及び劇物のYAKUMOへの登録状況及び在庫数量を定期的に確認し、使用の見込みのない毒物及び劇物については、速やかに廃棄処分等の処置を講じなければならない。

労働安全衛生法

労働安全衛生法では、労働災害を防止するための管理を必要とする作業(法第14条)および有害な業務(法第65条)において、有機溶剤、特定化学物質などが定められており、それぞれのルールがあります(有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質等障害予防規則)。

<労働安全衛生法>
  • 危険性または有害性の調査(リスクアセスメント):
    爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他危険を生ずるおそれのある物、健康障害を生ずるおそれある物は、危険性または有害性を調査しなければなりません(第57条の3)。
【熊本大学の対応】
熊本大学化学物質取扱要項

第9条 化学物質管理責任者は、リスクアセスメント対象物質を使用する場合には、中央安全衛生委員会の指導の下、毎年度当初及びリスクアセスメント対象物質を新規に使用するときには、当該対象物質に関する危険性又は有害性等の調査を行い、次に掲げる事項を化学物質取扱者に周知し、調査結果及び周知状況を記録しなければならない。

  1. 当該調査対象物質の名称
  2. 当該業務の内容
  3. 当該調査の結果
  4. 当該調査の結果に基づき講ずる化学物質取扱者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置の内容
<有機溶剤中毒予防規則>
保管
  • ふた又は栓をした堅固な容器:有機溶剤等がこぼれ、漏えいし、しみ出し、又は発散するおそれをなくします。また関係者以外を立入禁止にして、有機溶剤の蒸気を屋外に排出する設備が必要になります(予防規則第35条)。さらに空容器であって、有機溶剤の蒸気が発散するおそれのあるものについては、当該容器を密閉します(予防規則第36条)。
使用
  • 種類:第一種、第二種、第三種に分類されています(予防規則第1条)
  • 密閉と換気:第一種と第二種は、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設置しなければなりません(予防規則第5条)。さらに有機溶剤使用中は、局所排気装置を稼働させなければなりません(予防規則第18条)
  • 掲示:有機溶剤を使用する場所には、人体に及ぼす作用、取扱い上の注意事項、中毒が発生したときの応急措置が容易に知ることができるように見やすい場所に掲示しなければなりません(予防規則第24条)。
  • 区分の表示:有機溶剤を使用する場所には、有機溶剤の区分が容易に知ることができるように見やすい場所に表示しなければなりません(予防規則第25条)。
    第一種有機溶剤
    第二種有機溶剤
    第三種有機溶剤
  • 測定(作業環境測定):半年以内ごとに一回、定期に当該有機溶剤の濃度を測定します(予防規則第36条)
  • 健康診断:第一種と第二種を使用した場合、半年以内ごとに一回、定期に医師による健康診断を受けます(予防規則第29条)
【熊本大学の対応】
熊本大学化学物質取扱要項

第11条 化学物質管理責任者は、有機溶剤を使用する場合には、次に掲げる事項を行わなければならない。

  1. 有機溶剤の人体に及ぼす作用、有機溶剤の取扱い上の注意事項及び有機溶剤による中毒が発生したときの応急処置に関する事項を見やすい場所に掲示すること。
  2. 第一種有機溶剤及び第二種有機溶剤を常時取り扱う場合は、作業環境測定士による作業環境測定を、原則として、6月以内ごとに行い、測定結果及び評価記録を法令等で定められた期間保管すること。
  3. 第一種有機溶剤は赤、第二種有機溶剤は黄、第三種有機溶剤は青で有機溶剤の種別を見やすい場所に掲示すること。
<特定化学物質障害予防規則>

化学物質等による労働者のがん、皮膚炎、神経障害その他の健康障害を予防するためのルールです。

保管
  • 漏れ、こぼれる等のおそれがないように、堅固な容器を使用し、又は確実な包装をしなければなりません。また容器又は包装の見やすい箇所に当該物質の名称及び取扱い上の注意事項を表示しなければなりません(予防規則第25条)。
使用
  • 種類:第一類物質、第二類物質、特定第二類物質、管理第二類物質、第三類物質に分類されています(予防規則第2条)
    特定化学物質等は、第一類物質、第二類物質、第三類物質をいいます。
  • 密閉と換気:第一類と第二類は、それらのガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設置しなければなりません(予防規則第3~6条)。さらに特定化学物質使用中は、局所排気装置を稼働させなければなりません(予防規則第8条)。
  • 立入禁止:特定化学物質を取り扱う場所では、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければなりません(予防規則第24条)。
  • 喫煙と飲食の禁止:第一類物質および第二類物質を取り扱う場所では、喫煙し、または飲食することを禁止し、かつその旨を見やすい箇所に表示しなければなりません(予防規則第38条の2)。
  • 掲示:特別管理物質を取り扱う場所には、名称、人体に及ぼす作用、取扱い上の注意事項、使用すべき保護具を見やすい箇所に掲示しなければなりません(予防規則第38条の3)。
  • 作業の記録:特別管理物質を取り扱う場所において常時作業する場合、一月を超えない期間ごとに、氏名、作業概要と使用期間などを記録します(予防規則第38条の4)。
  • 測定(作業環境測定):半年以内ごとに一回、定期に第一類物質または第二類物質の空気中における濃度を測定しなければなりません(予防規則第36条)
  • 健康診断:特定化学物質を使用した場合、半年以内ごとに一回、定期に医師による健康診断を受けます(予防規則第39条)
  • 保護衣:特定化学物質等で皮膚に障害を与え、若しくは皮膚から吸収されることにより障害をおこす
    おそれのあるものを取り扱う作業又はこれらの周辺で行なわれる作業に従事する労働者に使用させるため、不浸透性の保護衣、保護手袋及び保護長靴並びに塗布剤を備えつけなければならない(予防規則第44条)。
【熊本大学の対応】
熊本大学化学物質取扱要項

第10条 化学物質管理責任者は、特定化学物質を使用する場合には、次に掲げる事項を行わなければならない。

  1. 特別管理物質を取り扱う場合は、特別管理物質の名称、人体に及ぼす作用、取扱い上の注意事項及び使用すべき保護具を見やすい場所に掲示すること。
  2. 化学物質取扱者が常時、特別管理物質を取り扱う場合は、1月を超えない期間ごとに取扱者の氏名並びに作業の概要及び期間(著しく汚染される事態が生じた場合にあっては、その概要を含む。)を記録すること。
  3. 特定化学物質のうち第一類物質及び第二類物質を常時取り扱う場合は、作業環境測定士による作業環境測定を、原則として、6月以内ごとに行い、測定結果及び評価記録を法令等で定められた期間保管すること。
  4. 保護衣使用義務等物質を取り扱う作業又はこれらの周辺で行われる作業であって、皮膚に障害を与え、又は皮膚から吸収されることにより障害をおこすおそれがある場合は、保護眼鏡、不浸透性の保護衣、保護手袋及び保護長靴を使用すること。

消防法

火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減し、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とします。

保管
  • 屋内貯蔵所:指定数量以上の危険物は、貯蔵所で取り扱わなければなりません(消防法第10条、危険物の規制に関する政令第2条)。
  • 少量危険物の貯蔵および取り扱い:指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を貯蔵および取り扱う場合は、あらかじめ、その旨を所轄消防署長に届け出なければなりません(熊本市火災予防条例第47条、熊本市火災予防規則第17条)。
【熊本大学の対応】
熊本大学化学物質取扱要項

第4条 危険物の保管及び使用に当たっての管理区域は、一つの実験室等を単位とし、管理区域における保管量及び使用量は、指定数量の5分の1未満とする。

  1. 一つの管理区域内で複数の化学物質取扱グループ(以下「グループ」という。)が危険物を保管し、及び使用する場合、各グループの保管量及び使用量(以下「基準配分量」という。)は、原則として、指定数量の5分の1を当該グループ数で除して得た数量未満とする。この場合において、各グループは、当該管理区域内のすべてのグループの基準配分量の合計が指定数量の5分の1に達しない範囲において、基準配分量を加減し、相互に調整を行うことができるものとする。
  2. 指定数量の5分の1以上の危険物は、危険物屋内貯蔵所で保管しなければならない。ただし、指定数量の5分の1以上1未満の場合は、少量危険物取扱所で保管することができる。
  3. 化学物質管理責任者は、実験室等で保管する危険物を危険物混載表(別表第1)の区分により、種類ごとに分類して、保管しなければならない。
  4. 前項の保管に当たっては、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
    1. 危険物を収容する容器に購入時の容器を使用しない場合は、可能な限り、ポリエチレン容器等容器の落下、転倒等により容易に破損しない材質のものを使用すること。
    2. 危険物を収納した容器は、原則として次の条件を満たす保管庫に収納し、戸を閉鎖すること。
      • ア 不燃性の材料で作られ、かつ、奥行きの深い頑丈なもの。
      • イ 引き違い戸のもの。(観音開きのものである場合は、震動により戸が開くのを防止するため止金を設けたものとし、引き戸式のものである場合は、開閉時の振動で容器が転倒しないための必要な措置を講じたものとする。)
      • ウ 建築物の壁、柱等に固定され、かつ、容器の転倒及び落下を防止するための措置が講じられたもの。
    3. 容器を保管庫に収納するに当たり、次のことを確認すること。
      • ア 密栓していること。
      • イ 容器の多段積みをしていないこと。
      • ウ 混合により発火等危険な反応を起こすおそれのある危険物を収納した容器が、互いに離れた位置に収納、又は転倒等により漏れた危険物が混合しないよう措置が講じられていること。
      • エ 自然発火のおそれのある危険物にあっては、保護液が十分満たされていること。
      • オ 特に危険性の大きい危険物にあっては、保管庫の上段に収納することを避けるとともに、必要に応じ、砂箱内に収納する等の措置が講じられていること。

第5条 化学物質取扱者は、危険物を使用する場合には、次に掲げる事項を行わなければならない。

  1. 危険物が漏れ、あふれ、又は飛散しないよう必要な措置を講じること。
  2. 危険物を含む薬品等の混合により、発火等危険な反応を起こすおそれのある実験等を行う場合は、付近に消火器具等を備えるなど、あらかじめ消火の準備を行うこと。

特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律

特定の化学物質の環境への排出量等の把握に関する措置、特定の化学物質の性状および取扱いに関する情報の提供に関する措置などを講ずることで、化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とします。

使用
  • 種類:第一種指定化学物質、第二種指定化学物質に分かれています(法第2条)。
  • 管理:指定化学物質の使用その他取扱いなどに管理を行うように努めなければなりません(法第4条)。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とします。

廃棄
  • 種類:産業廃棄物と特別管理産業廃棄物に分かれています。特に特別管理産業廃棄物は、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものをいいます(法第2条、施行令第2条の1と4)。
【熊本大学の対応】
熊本大学化学物質管理規則

第14条 化学物質は、関係法令等及び環境安全センターの指示に従って廃棄しなければならない。

水銀による環境の汚染の防止に関する法律

水銀が、環境中を循環しつつ残留し、及び生物の体内に蓄積する特性を有し、かつ、人の健康及び生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質であることに鑑み、水銀等の環境への排出を抑制し、もって人の健康の保護及び生活環境の保全に資することを目的とします。

保管
  • 管理:定期的に水銀などの貯蔵について、報告しなければなりません(法第22条、水銀等の貯蔵に関する省令第4条)。
【熊本大学の対応】
熊本大学化学物質取扱要項

第12条 化学物質管理責任者は、水銀等を保管する場合には、次に掲げる事項を行わなければならない。

  1. 水銀等を保管する容器又は包装は、常温で水銀等と反応しない炭素鋼又はステンレス鋼の材質のものを使用すること。
  2. 容器又は包装に水銀等の名称(水銀等の混合物(辰砂を除く。)にあっては、水銀等の名称及び含有量。)を表示すること。
  3. 水銀等は、保管する水銀等の名称を表示した堅固な施錠できる保管庫で保管すること。

水質汚濁防止法(下水道法)

公共用水域及び地下水の水質の汚濁の防止を図り、もつて国民の健康を保護するとともに生活環境を保全することを目的としています。

使用
  • 特定施設:有害物質などを含む汚水又は廃液を排出する施設をいいます(法第2条)。
  • 特定施設の届出:工場又は事業場から公共用水域に水を排出する者は、特定施設を設置しようとするときは、都道府県知事に届け出なければなりません(法第5条)。
  • 構造基準等の遵守:有害物質を含む水の地下への浸透の防止のための構造、設備及び使用の方法に関する基準を遵守しなければなりません(法12条の4)。
廃棄
  • 排水基準:有害物質の種類ごとに定める許容限度を排水基準とします(法第3条、第12条)。
Page Top